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若手市職員と“遠野の好きなところ”について考えてみた

ある昼下がりの市役所。何やら真剣な面持ちで語り合う3人の若手職員の姿が。どうやら遠野市のふるさと納税の返礼品の企画について話し合っているみたいです。ちょっと覗いてみましょう。

【登場人物紹介】

遠野の好きなところは?

浅沼さん「遠野市のふるさと納税だけど、おかげさまで年々寄付額を伸びていて。たくさんのかたに支援していただいてます。でも、もっともっと注目が集まるように、新しい返礼品も考えていきたいなと」

浅沼さんは、ふるさと納税の担当者になったのは令和3年度。今年で3年目です。遠野市のふるさと納税の寄付金額は、令和3年度148,416,200円、令和4年度308,892,455円、令和5年度343,877,000円(12月27日現在)と着実に増加しています。

浅沼さん「一人で考えていると行き詰まっちゃうから、今日は一緒に考えてもらおうと2人に声をかけたということなんだけど。山下さんは軽米町出身なんだよね。なんで遠野市に就職したきっかけを教えてほしいです。

山下さん「高校を卒業して、山形の短大に進学したんです。日本史を選考していたんですが、卒論のテーマに『遠野』を取り上げて。その縁もあり、大学卒業後は『岩手に帰りたいな』と思っていたので遠野市の採用試験を受けました」

浅沼さん「どうして遠野を卒論のテーマに選んだの?」

山下さん「私、ホラー映画や怖い話が好きで。遠野は『遠野物語』で有名で、そういった民話が残っている地域ですよね。それで、民俗学にも触れたかったという想いもあり選びました」

山下さんは、岩手県北部の軽米町出身。お父様も歴史が好きで、よく遠野を訪れていたとか。お父様に連れらえて高校生の頃も度々遠野を訪問していたため、まちの様子もわかっていたそうです。

浅沼さん「実際に暮らしてみてどう?暮らしにくいとかある?」

山下さん「ほどよく都会的なところも、田舎なところもあって暮らしやすいです。私は都会が得意ではないのですが、田舎すぎるのも不便だと感じていて。ちょうどいいと思ってます」

浅沼さん「では、朝倉くんがどうして遠野にUターンしたのかも聞きたいな」

朝倉さん「もともと『いつか遠野に戻りたい』と思っていました。大学院に在籍中に、東京オリンピック・パラリンピックに関わろうとしていたんですが、コロナ禍でオリパラが延期になってしまって。それで、遠野市役所を受けたところ採用してもらえました」

朝倉さんは千葉県の大学へ進学。特別支援教育を専門とする先生のもとで修士号を取得。卒業後、ふるさとである遠野にUターンしています。

浅沼さん「遠野のどういうところが好きなの」

朝倉さん「島根県海士町のキャッチフレーズ知ってます?『ないものはない』っていうんです。これは『ないものはなくていい』、『でも大事なものは全部ある』という2つの意味が込められた言葉だそうです。これを聞いたとき、遠野も同じだなと思って」

浅沼さん「本当に遠野が好きなんだね。いいことだ(笑)」

2人の遠野の“推し”は何?

浅沼さん「そんな遠野が好きな2人に、遠野の特産や名物で“推し”があれば聞きたいです」

山下さん「私は遠野のジンギスカンに思い出があります。遠野に引っ越してきた日に、引越しを手伝ってくれた家族と“ジンギスカンのあんべ”にご飯を食べにいきました。羊のお肉ってクセがあると聞いていたんですが、遠野のジンギスカンは全然臭みがなくて美味しかったんです!」

遠野のジンギスカン

遠野のソウルフードとも呼ばれている“ジンギスカン”。遠野市内では「焼肉=ジンギスカン」という意味で通じるほどの浸透ぶり。市内のジンギスカン店は、どこも鮮度にこだわりお肉を仕入れているため、臭みがなくジューシーなラム肉が食べられます。ふるさと納税の返礼品としても人気ジャンルのひとつです。

朝倉さん「県外の友達が遊びにきたりすると、必ずジンギスカンには連れていきますもんね。外せないですよ」

浅沼さん「そんな、朝倉くんの“推し”は何ですか」

朝倉さん「僕に聞いたらお酒になってしまいます(笑)特に遠野のクラフトビールですかね」

浅沼さん「確かに朝倉くんといったらビールのイメージがあるね」

朝倉さん「実は僕、大学時代は全然ビール飲んでなかったんですよ。僕がビールを飲み始めたきっかけは、地元の遠野醸造でクラフトビールを飲んだことなんです」

朝倉さんは、現在所属している産業企画課で、遠野の一大産業であるホップ栽培の支援や、ビールの里プロジェクトの推進、ホップ収穫際の実行員にもなりまちづくりに携わっています。昔からビールが大好きだったのかと思いきや、違ったんですね。

朝倉さん「遠野に戻ってきて、遠野醸造が近所にあることも大きいですね。できたてのクラフトビールが生で飲める。やはりホップをたくさん使ったビールは香りも違うんですよね。どんどんハマっていきました」

遠野醸造のビール

浅沼さん「ここ3年でビール好きのイメージができるほど飲んでるんだね(笑)確かに、遠野のビールも人気の返礼品のひとつ。キリンビールの“とれたてホップ”は寄付が多くあつまっていますよ」

遠野の新しい返礼品会議

浅沼さん「2人には『こんな返礼品あったらどうでしょう』という案があれば教えて欲しくて。それぞれの職域で何かないかな。例えば山下さんは農林課だけど、遠野の木材を使った何かとか」

山下さん「そうですね。私は仕事で、子どもたちにも遠野の木に親しんでもらおうとイベントを開催したりしています。その時に、木製の器具を使うスポーツが盛り上がるんですよ。モルックやクッブと呼ばれているスポーツです」

モルックはフィンランド発祥のスポーツ。地面に並べられた木製のピンを、これまた木製の棒を投げて倒すというシンプルなゲーム。2つのチームに分かれて争い、先に50点を先取したほうが勝ちというルール。フィンランドでは、サウナとビールを楽しみながらやるスポーツとして人気のようです。

浅沼さん「いいね!これまで家族や複数人で楽しめるものって返礼品になかったから。それを遠野の木材を使って作る。いい案だと思う!」

確かに、遠野はビールの里でもあるので、遠野製のモルックは盛り上がりそうですし、ビールセットになった返礼品や、ビールとの定期便のセットも面白そうです。

朝倉さん「逆に質問ですが、浅沼さんから見て意外にも伸びている返礼品ってあるんですか」

浅沼さん「そうだね。意外に寄付が集まっているのが“薪”なんだよね」

浅沼さん「キャンプが人気を集めているからなのかなと思っているけど。予想以上の申し込みが入るんだよね」

山下さん「確かに広葉樹の薪は火持ちもいいですし、買うと高かったりするからふるさと納税で手に入るのは嬉しいかもですね」

最近では電気代やガス代の高騰もあって、薪ストーブに注目も集まっていると聞きます。しかし、都市部では薪が比較的高額で販売されているよう。遠野では安価で販売されていることが多いので、返礼品として人気が出てきるようです。

まとめ

浅沼さん「これからも遠野を継続的に支援してもらえるように、新しい返礼品をどんどん考えていきたいと思っているので、2人とも引き続き協力よろしくお願いします!」

朝倉さん、山下さん「「はい!」」

遠野市の若手職員が遠野の好きなところについて語っている様子は、とても素敵でした。これからも、遠野のおもしろい未来のために意見を出し合ってほしいなと思いました。若者が頑張るまち遠野を、これからも応援よろしくお願いします!

遠野市のおすすめの返礼品

【山下さんのおすすめのジンギスカン】

【朝倉さんおすすめのクラフトビール】

この記事を書いたのは
ライター・撮影:オダギリダイキ
岩手県遠野市在住ライター|美味しいものと怪談をこよなく愛している
X(旧twitter): https://twitter.com/kaidan_tono

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