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農家民宿のすすめ〜遠野のリトル関西・つくしファームのおもてなし〜

おはようでがんす!
岩手県遠野市で活動しているライターのオダギリです。
僕は今、ノルウェーの森を思わせる雪景色を見ながら、リラックスしています。

ところで皆さんは、農家民泊・農家民宿(以下:農泊)ってご存知ですか?
農家さんがご自宅で営む宿泊施設のことです。
豊かな自然に囲まれた農村地域にあることが多く、都心部に住われていて「ああ〜田舎でのんびり過ごしたい〜〜」という方に、オススメの滞在方法です!

実は遠野市内には、たくさんの農泊があるんです!

遠野度の産地直売所より(遠野山・里・暮らしネットワーク運営)

実は今僕がいるここも、遠野市内の「つくしファーム」という農家民宿です。大自然に囲まれていて景色も最高な農泊です。

大自然の中にあるつくしファーム

遠野に来た際には、農泊をお勧めしたいのですが。
・食事はどんな感じだろう?
・どんな体験ができるのだろう?
・持ち物は何を持っていけばいいの?
と農泊について気になることもあると思います!

この記事は、農泊を満喫してもらえるように、農泊の気になるポイントと魅力をお伝えします!

そのために、僕が日頃お世話になっている農家民宿「つくしファーム」の打越義之さん・美保子さん夫妻にお話を伺ってきました。

打越美保子さん、打越義之さん

自然に囲まれてのんびり過ごそう!農家民宿・つくしファーム

オダギリはなんと、つくしファームに5回以上宿泊しているヘビーユーザーなんです。
なぜ僕がつくしファームにここまで惹かれるのかを分析することで、農泊の魅力に迫りたいと思います!

こんにちは!今日はよろしくお願いします!

いつもありがとう。どうぞどうぞ。

打越義之さんと美保子さんはお二方とも大阪のご出身。
2018年に、当時住んでいた滋賀県から遠野へ移住し、つくしファームを開業しました。

つくしファームに来ると、自分の家のように寛いでいます。

そう言ってもらえたら嬉しいです。

内装も木を基調としていて落ち着く空間です。
早速なんですが、宿泊者の滞在エリアをご案内いただいてもよいですか?

構いませんよ!

まず、こちらがリビングルーム。天井が高く開放的で、窓が大きく眺めがいいです。ここでは、チェックイン後に打越さんたちとお話をしながらお茶をしたり、夕食の準備ができるのを待ちながらゆったりと過ごせます。
wi-fiも使用できますので、ワーケーションにも向いてますね

夕食はこちらでご夫妻とテーブルを囲んでいただきます。
※夕食のメニューがお好み焼きやジンギスカンの場合、玄関の前室になることもあります。

あれ?あんなところに鳥の巣箱なんてありましたっけ?

リビングの梁には鳥の巣箱が……

あれは僕が取り付けたものです。ここにいると、たまに鳥の声が聞こえてきませんか?

そう言えば、一時間に一回くらい鳥のような声が聞こえてきますね。

実はあの鳥の声、時報なんです。
たまにお客さんがあの音を聞いて『鳥を飼ってるんですか?』と尋ねてくることがあって。
その時に『そうなんですよ。あそこに巣箱ががあるでしょ』っていうボケのために設置しました。

笑!ボケのために!

そうそう

さすが大阪出身。
義之さんのボケやノリツッコミも、つくしファームの魅力の一つ。
軽妙なコミュニケーションが心地よいです。

つくしファームは、トイレやお風呂もとても広くて綺麗です。

清潔感がある広めのトイレ。ウォシュレット付。
浴槽は足を伸ばせる大きさ

お風呂にはシャンプー・リンス・ボディーソープが備えてあります。
また、フェイスタオル、バスタオル、ドライヤーは借りることができます。
※歯ブラシは要持参。

そして、こちらがベッドルームです。

このベッドルームで4人まで滞在が可能


毎回泊まる度にこのベッドで熟睡しています……

快適に滞在していただくために、ベッドにはこだわっています。

やっぱり!良く眠れるわけです。
お部屋も夏は涼しいですし、冬は暖かいです。

遠野の中でも山に近いから夏でも涼しいんです。冬の暖かさはこの家の造りのおかげかな?

断熱性と機密性が高いんですね。

そして、お家を取り囲むように広がっているのがブルーベリー畑。
お二人は、ブルーベリー農家をやりながら農泊を営んでいます。

敷地には広大なブルーベリー畑

農泊だけでなく、飲食店としても営業されているんですよね?

私たちが大阪出身なので、予約制でお好み焼き屋をやっています。
本場の“おこのみ”を召し上がってもらえます。

それと、<農カフェ>という名前で喫茶もやってます。
こちらも予約いただいたら、うちでとれたブルーベリーを使ったジュースやスムージー、ワッフルなどをお出しできます。

お好み焼きはふわふわで美味しい!
ブルーベリースムージーは体が喜ぶフレッシュな美味しさでした。

農泊は体験の宝箱!個性豊かなアクティビティ

夏になると大きなブルーベリーが実る

つくしファームでは、もちろん農業体験もできるんですよね?

そうですね。ブルーベリーの収穫期の7月から8月にかけては摘み取り体験もできますし。前後のシーズンでは手入れ作業も体験できます。
冷凍したブルーベリーを使ったジャム作りもできますよ。

春にはうちの敷地内で山菜採り、秋には栗拾いもできますね。

実際の農作業体験の様子

家族連れでもできるアクティビティが嬉しいですね!それにしても、敷地内で山菜採りや栗拾いができるって……かなり広いんですか?

全部合わせると、東京ドーム1個分より広いみたいです。

え!?東京ドーム!?良く例えに使われるけど、広過ぎて想像がつかないやつだ……

ブルーベリーの木も1,300本あって。二人だけでお世話するのも結構大変なんです。

農作業のない冬も、スノーシューズを借りて広大な敷地をトレッキングできたり、狩猟をやっている義之さんに同行して狩猟見学もできたりします。

友人と一緒にスノーシューズでトレッキング体験をしたオダギリ(右)

また、義之さんはドッグトレーナーの資格ももっており、愛犬と一緒に滞在することもできます。敷地内にはドッグランも整備されているんです。

こんな眺めのいいドッグランで走れたら、わんちゃんも気持ちよさそう

農泊ごとに育てている農作物も異なり、それぞれで違った農作業が体験できます。つくしファームでいうスノーシューズ体験や狩猟体験のように、オーナーさんの趣向によってオリジナリティ溢れるアクティビティが用意されているのも農泊の魅力の一つです。


お二人が遠野で農泊を始めたのは、もともと岩手や遠野に興味があったのでしょうか?

実は、そうではありませんでした。移住を決めるまで、遠野のことは全く知らなかったんです。

岩手のことも、演歌に出てくる寒いところってくらいのイメージだったんです。

元々関西で会社勤めをしていた義之さんは、いつか仕事を止めて農業や宿泊業、飲食業を自分で立ち上げたいと考えていたそうです。
そんなある時、藤門弘さんの本「ブルーベリー読本」を読んだことがきっかけで、特にブルーベリー農家に憧れをいだくようになったのだとか。

義之さんが本格的にその夢に向かって動き出したのが、49歳の時でした。ある一本の映画を見たことがきっかけとなったそうです。自分と同じ49歳の主人公が本当にやりたいことを目指す姿に感化され、憧れのブルーベリー農家をメインの目標に、夢を叶えるための計画を立て始めました。

最初は関西〜近畿あたりで、ブルーベリーを育てながら飲食店や宿泊施設ができそうな物件を探していました。しかし、どこも広さが足りなかったり、予算が合わなかったり、なかなかいい物件には出会えなかったんです。

探し始めて10年ほど経った頃です。主人がネットで調べていたら、広大な敷地に既にブルーベリー畑があって、農泊もできる物件があるのを見つけました。まさに求めていた物件です!どこにあるのか見てみると……岩手県遠野市でした。

それが、このお家!10年間探してきて、本当に運命的な出会いだったんですね。

当時のこの物件の不動産記事
まさに二人が探していた条件が全て当てはまっていた

農泊の醍醐味は宿のオーナーとのコミュニケーションにあり

この日の夕飯のメニューは豚しゃぶとたこ焼き!

つくしファームに滞在する時、僕がなにより楽しみにしているのはお二人との夕食の時間です。

うちでは、夕食はお客さんと同じメニューを一緒にいただきますお酒の持ち込みもOKです。

お酒好きな僕は嬉しいです。工夫をこらしたお料理が美味しくて、ついつい持ってきたお酒が進んじゃいます。

うちは二人とも大阪出身なので、お好み焼きやたこ焼き、串カツ、どて焼きなど大阪の料理を出すことが多いですね。

目の前で手際よくたこ焼きを作るお二人
僕のたこ焼きと違ってまん丸く焼き上がっていく……

2018年2月に滋賀県から遠野へ引っ越してきたお二人。引っ越して3ヶ月後の5月には、教育旅行の中学生の受け入れをスタート。それが最初のお客さんだったそうです。二人がまだ遠野をよく知らないなかで、一番困ったのは食事のメニューだったとか。

遠野の料理を一つも知らなかったですからね。昼はカレーを出して、夜は少しでも遠野らしいものをと思ってジンギスカンを出しました。

言葉も関西弁で。中学生たちが『遠野に来たと思ったら僕たちだけ大阪に来たみたいです』って(笑)

それで、遠野で農泊をやってる先輩たちに食事について相談したんです。
そうしたら『普段の食事をだせば良いのよ』ってアドバイスをいただいて。

それならうちは、自信を持って大阪の食事を出そうと思いました。それでお好み焼き用の鉄板も買ったんです。

大阪のご飯を食べながらお二人と話すのが、とっても楽しいです。お話が上手なので僕もたくさん喋っています。

以前、ご夫婦で滞在されたお客様がいてね。こうして一緒に夕飯を食べていたら、旦那さんが楽しそうにお子さんのことなどお喋りしてくれるんです。それを見て奥さんが驚いてたんです。『主人がこんなに喋っているのを久しぶりに見た』って。

旅先でホテルに泊まっても、あまり食事中話すこともなかったそうです。僕たちとの会話を楽しんでいただけることが、嬉しいですね。

お二人のお人柄があってこそです!どんな話でも受け止めてくれるような暖かさがあります。

農泊の魅力の一つが、宿の方との交流です。
つくしファームでは、義之さんと美保子さんが移住者目線での遠野の魅力を語ってくれたり、僕たちの話にも耳を傾けてくれます。ついつい話が弾み、思いがけない話題にも花が咲くことも。

旅先でその土地に暮らす人と同じ食卓を囲む機会はなかなかありません。
これは旅館やホテルでの滞在では味わえない、農泊ならではの体験です。

遠野へ移住して農泊を開いて

遠野に移住して5年が経ちました。移住当初から遠野の方に良くしてもらって感謝しています。

全然知らない土地で新しく事業を起こすのは、とても大変だったと思います。

そうですね。でも、遠野には私たちより先に農泊をやられている先輩たちがいました。その方たちが相談にのってくださり、アドバイスをしてくれたんです。環境にはとても恵まれていると思います。

遠野には各分野にすごい方がいらっしゃいます。農泊はもちろん。狩猟や、飲食店も、遠野の先駆者の方たちと出会うことで、刺激を受け自分もどんどんバージョンアップしていくのを感じます。

遠野の人はとても暖かいです。いろいろなことを気にかけてもらいました。

近所の面倒見のよい方が、声をかけてきてくれるんです。困っていることがないかって。その方が、さらにいろいろな人を紹介してくださり、人の輪が広がりました。

ブルーベリーも、ご近所のお母さんたちが手伝ってくれるんです。この家の前の持ち主の時代からお手伝いをされているお母さん方なので、僕らよりも手際が良いいんです。

みなさん楽しくお喋りしながら、それでも手は止めずにテキパキと作業してくれます。

お二人の移住のきっかけになった書籍『ブルーベリー読本』には、著者・藤門弘さんの農業生活が綴られています。打越さんたちと同じく、近所のお母さんたちに農業を手伝ってもらう描写もあるのだとか。

自分たちが思い描いていた夢がまさに叶っています


ここまで支えてくださった遠野の方にも恩返しがしたくて。昨年は、知り合いのお米農家さんのお手伝にもいきました。

遠野の方々も、お二人が農業だけでなく、飲食店や農泊などやりたいことに挑戦していく姿に勇気をもらい、応援したくなるのだと思います!

今後ももっと地域の方達に恩返しがしたいというお二人

遠野のリトル関西・つくしファームの魅力

最後にお二人には、今後挑戦して行きたいことをお聞きしました。

これまでも農業・宿泊業・飲食業といろいろと挑戦してきました。思い描いていたことが叶ってきていて、今のままでも良いかなと思うこともあります。しかし、まだまだバージョンアップさせていきたいです。


より気持ちよく滞在してもらえるように、リビングから見える景色ももっと良くしたくて。春になったらお花が咲くようにガーデニングしたいですね。

やりたいことがたくさんあるせいか、会社員の頃に比べ時間が経つのが本当に早い。時間が足りないんです。

そんなお二人に魅了されたリピーターの宿泊者の中には、毎年農作業の繁忙期に手伝いに来てくれる人もいるそうです。

3年前に宿泊してくれたご夫婦が、それ以来何度も泊まりに来てくれます。元々農業に興味があったそうで、ブルーベリーが忙しい時期になると一週間ほど休みをとって、滞在しながら作業を手伝ってくれるんです。

もう家族みたいな存在ですね。農業以外にもマルシェへの出店も手伝ってくれました。

地方で農業に挑戦してみたいけど、いきなり移住はなかなかできないという人たちにはとても良い体験になりますね。お試し移住的な。

農業をやってみたいという気持ちがある人には、私たちもきちんと作業を教えたいです。何より手伝っていただけるのが本当に助かります。

僕が、つくしファームに惹かれる理由が見えてきました。
過ごしやすい宿泊環境はもちろん。お二人の暖かい人柄と、夢を叶えても、なお挑戦し続けるその姿に、励まされていることに気が付きました。
そしてなんとやはり、お二人と一緒に過ごす夕食の時間が毎回とても楽しいのです。

お好み焼きは本当に美味しくて、何度でも食べに来たくなります。

関西の文化を強み、アドバンテージにできたらなと思っています。関西流のおもてなしは遠野でも、私たちしか提供できない体験だと思います。

関西と遠野では、やはり文化が違いますか?

関西の僕たちは小さい頃から新喜劇を見て育っていますからね。こっちの人たちとの飲み会に参加すると、僕がボケてもだれもツッコミを入れてくれないですし(笑)

笑!
確かに、僕もツッコミはできません。でもこのノリがクセになります。
またお二人と過ごすために、近いうちに泊まりにきます!

ぜひ、みなさんも遠野に来たら農泊・つくしファームに宿泊していただきたい

まとめ

今回は、遠野市の「つくしファーム」の魅力を通じて、いかに農泊がおすすめかをお伝えしてきました。

農泊は

  • 宿ごとに異なる個性豊かなアクティビティ

  • 現地に住む宿の主人とのコミュニケーション

  • 豊かな自然に囲まれてのんびり過ごせる

ところに大きな魅力があります。

持ち物もタオルやドライヤーなどの洗面用具は揃っているところがほとんどです。歯ブラシと化粧品などの衛生用品は忘れずに持っていきましょう!

みなさんも遠野にいらした際は、農泊に滞在してみてはいかがでしょうか?
そして、ぜひ遠野のリトル関西「つくしファーム」の暖かいおもてなしを体感してみてください!

つくしファームでは宿泊だけでなく、お好み焼き屋や喫茶のみの利用も可能です。予約が必要なので、ご希望の場合はお問い合わせをお願いします。

また、遠野にはつくしファーム以外にも、特色ある農泊がたくさんあります。自分が体験したいアクティビティがある農泊を選ぶことができるのも遠野の農泊の魅力です。

遠野市内の農泊を取りまとめ、窓口となっているのが特定非営利活動法人遠野山・里・暮らしネットワークです。遠野山・里・暮らしネットワークが運営している「遠野旅の産地直売所」は、遠野の現地ガイドツアーや農泊を一覧できるサイトです。ここから申し込むこともできます。

また「遠野旅の産地直売所」で使用できる旅行券がふるさと納税の返礼品で出品されています。ふるさと納税を活用して、遠野への旅行を計画してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたのは
オダギリダイキ
岩手県遠野市在住ライター|美味しいものと怪談をこよなく愛している
twitter: https://twitter.com/odagiri_tonob

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