美味しいジンギスカンを食べるなら遠野!遠野ジンギスカンの美味しさの秘密に迫る!?
おはようでがんす!
岩手県遠野市で活動しているライターのオダギリです。
いきなりですが、みなさん。
美味しいジンギスカン食べたくないですか?食べたいですよね!
そんな方に朗報です。遠野に来れば食べられます。
知人に「遠野に遊びにいったら、まず何食べればいい?」とよく聞かれるのですが、
僕は迷うことなく「ジンギスカン!」と答えます。
「え?ジンギスカンって北海道名物じゃないの?」と思ったそこのあなた。
何をおっしゃいますか。遠野は北海道と一、二を争うほどジンギスカンを盛んに食べている地域なんです!
遠野では「焼肉を食べにいこう」というと「ジンギスカンを食べに行こう」という意味になります。年末年始、お花見、お祭りの打ち上げと遠野市民が集まるところに、ジンギスカンあり。それほど市民の生活に根ざした食事なんです。
しかも、遠野のジンギスカンのお肉は新鮮さが桁違い。
美味しさが一味も二味も違います。
嫌な臭みが全くありません。「ラムとかマトンって臭みがあって苦手」という知人に、遠野のジンギスカンを食べさせたら「全然臭みがなくてジューシーで美味しい!」と言って驚いていました。
でも、なぜ美味しいジンギスカンが遠野で食べられるのでしょうか?
いったいいつから遠野の名物と言えるまでになったのか?
その謎を解き明かしたとき、遠野ジンギスカンの美味しさの秘密と、遠野市民のとある特徴が見えてきました。
「美味しいジンギスカンが食べたい!」方必読です。
美味しいジンギスカンは遠野にあった!
まず「遠野で美味しいジンギスカンが食べられるのはなぜか?」という謎を解明するためにやってきたのがこちら
遠野市で最初にジンギスカンを提供した「ジンギスカンのあんべ」です。あんべの三代目店主・安部吉弥さんにお話を聞いてきました。
遠野のジンギスカンの美味しさの秘密を解き明かしにきました。
遠野のジンギスカン、美味しいでしょう。なんでも聞いてください。
では、率直に聞きます。どうして遠野のジンギスカンのお肉はあんなに新鮮で美味しいんですか?
ずばり本質を聞きますね。あんべのジンギスカンのお肉はオーストラリアから輸入しています。その輸入方法とお肉の切り方に秘密があるかもしれません。
輸入方法と切り方?特別な輸入の仕方をしているんですか?
私は輸入時のお肉の梱包方法に、特に注文をつけています
経費削減のために、肉を輸入する時はできる限り多くの肉を一つの箱に詰めることが多いそうです。しかし、肉を詰み重ねると、下に敷かれた肉に重みがかかりドリップ(=肉汁)が流れ出てしまいます。そうすると、お肉の鮮度が急速に落ちてしまい美味しくなくなってしまいます。
あんべでは肉を詰み重ねず、箱に余裕を持たせた状態で輸出するように、卸業者にお願いしているそうです。そうすることによって、全てのお肉をベストな状態で仕入れることができるのです。
ここまでこだわっているところは、日本でも特に遠野くらいかもしれません。そうすることで臭みのない新鮮な状態でお肉が届きます。
なるほど!効率や経費を考えればギュウギュウに詰めたくなりますが、それは肉の美味しさを損ねるんですね。
そうです。ラムやマトンを食べて『臭くて嫌いになった』という方がいらっしゃいますが、もったいないです。鮮度を保って輸入され、きちんと品質管理されたものであれば美味しさに気づいていただけるはずです。
遠野のジンギスカンの美味しさの本質を知ることができました。
そして、お肉の切り方にも秘密があります。
あんべでは創業以来、長年経験を積んできた職人が、スジなどを丁寧に取り除き、全て手で切ることに一貫してこだわっているそうです。
筋繊維の流れや方向を目で確認しながら、丁寧に包丁を入れています。
そもそも羊肉って扱うのが難しいものなのですか
そうですね。やはり他の肉より品質劣化が早く臭みが出やすいと思います。
遠野にはジンギスカンを取り扱う精肉店が何軒かありますが、みなさん羊肉の取扱に慣れています。
羊肉の良し悪しがわかるということは、他の肉も見分ける力も高いということです。
おおお!遠野の精肉店はそんなにレベルが高いんですね!
はい。なので、鶏肉や豚肉、牛肉も美味しいものばかりですよ。
遠野で美味しいお肉はジンギスカンだけではないようです。
そもそも遠野がこれだけ美味しいジンギスカンにこだわっているのは、それだけ市民が食べるから。
なぜ、遠野ではジンギスカンが盛んに食べられるようになったのでしょうか。あんべが初めてジンギスカンを提供した経緯をお聞きしました。
遠野でジンギスカンがソウルフードになったわけ
あんべが初めて遠野でジンギスカンを提供し始めたということですが、それっていつ頃のことなんですか?
順を追って説明しますね。
まず、当店の開業は昭和22年です。私の祖父・安部梅吉が当店の初代です。満州への従軍から帰ってきた祖父は、遠野で精肉店と食堂を始めました。
開業した時は、精肉でも食堂でもジンギスカンは取り扱っていなかったんですか?
はい。当時食堂では、ラーメンや焼き鳥を主に出していたそうです。当時の遠野には牛を食べる文化があまりなかったため、精肉も鶏肉が中心だったようです。
なるほど〜〜。どういう経緯でジンギスカンを販売することになったんですか?
祖父は、満州で食べた美味しい羊肉料理が忘れられなかったそうです。それで、まかないとして家族だけで取り寄せ羊肉を食べていたそうです。
梅吉さんが、羊肉をより美味しくたべるためにこだわったのが「たれ」作りでした。何度も試作して完成させたたれが、現在あんべでも使用されているジンギスカンの特性だれです。当時からたれレシピは変わっていないのだとか。
そして、家族だけで食べていたジンギスカンをある時客人に振る舞ったところ「これは美味しい!」と評判になり、食堂で出すことに
そこから提供が始まったんですね。当初から人気があったんですか?
残念ながら、そうではなかったようです。当時の遠野では、四つ足の肉を食べる文化がなく牛も食べていなかったほどです。受け入れてもらうのに時間が掛かったと聞いています。
今では当たり前に食べているのに。広めるには苦労があったということですね。
そのようです。より多くの人に知ってもらうために、最初の頃はお祭りの屋台で出したりしていたようです。低価格で提供することで、試しに食べてみてほしいと。
お祭りで!まさに草の根活動的な努力ですね!
そこから次第にジンギスカンが美味しいという評判が出始め、受け入れられるようになったそうです。
そしてあることがきっかけで市内に爆発的な広がりを見せたそうです。
それがこのバケツです!
出た!遠野といえばバケツジンギスカン。このバケツがきっかけに?
実はこのジンギスカン用のバケツ、二代目にあたる私の父が開発したんです。
えっ!そうだったんですか?知らなかったです。
昭和30年代の遠野では高原で開かれる「高原祭り」が盛んに開催されていました。私の父は祭りの会場までお肉や七輪、鍋などを配達していたのですが、往復する山道で七輪が割れてしまうことがよくありました。これを解決するために、試行錯誤して作られたのがブリキのバケツに通風孔の穴をあけて作ったこのジンギスカンバケツです。。
ジンギスカン用のバケツが開発されたことによって、より気軽にジンギスカンを楽しむことができるように。炭を使わず固形燃料を使うことも、お手軽ポイント。家庭や寄り合いで気軽にジンギスカンが食べられるようになりました。
貸し出した鍋とバケツは使用後、洗わずにそのまま返していただけます。これは当時から変わりません。
とても良いサービスです。おかげさまで僕たちも、気軽にバケツジンギスカンを楽しめています。
北海道の方たちもこのバケツを見て、こういう手があったのか!と驚いていました。このバケツと鍋のセットも人気がありますよ
開発したばかりの頃は、自分たちでバケツを手作りしていたとのこと。幼い頃、ブリキのバケツをくり抜いた銀色の丸が自宅の裏に沢山落ちていたことを、覚えているそうです。
祖父と父の努力もあり、私が物心ついた時には、遠野ではジンギスカンは当たり前の食べものになっていました。
そう考えると、ジンギスカンの広がりのスピードは早いですね。吉弥さんが昭和44年生まれ。あんべの開業は昭和22年ですよね。わずか十数年ほどで遠野市民に定着したということになります。
「まんず、かたって」遠野市民は団らんが好き!
やはりジンギスカンの美味さが遠野の人たちの心をつかんだから、ソウルフードと呼ばれるまで定着したのでしょうか?
私は『遠野の人たちがジンギスカンを広めてくれた』と考えています。遠野の人は、みんなで集まって楽しく飲食するのが好きなんです。遠野の人のご自宅に行くと『まんず、かたってかたって(=とりあえず、お話しよう)』と家の中に誘われたことありませんか。
あります。そんなつもりじゃなかったのにご飯をご馳走なったことも。
そうでしょう。遠野には、お茶やお菓子を楽しみながら、集まって話をするのが好きな文化がもともとあるんです。そういう“団らん”が好きなんです。その文化に丸い鍋をみんなで囲んで食べるジンギスカンはぴったりだったんじゃないかなと。
納得です。もともと集まって食事をするのが好きな遠野の人が、まさに求めていたスタイルなのかもしれないですね!
吉弥さんは、ジンギスカンを通じて遠野の「団らんの文化」を広めていきたいと語ります。
ジンギスカンを囲むと自然とお互いの顔が良く見えて、会話も弾んで楽しい時間が過ごせます。
『人生楽しいことだけじゃなく時には辛いこともあるかもしれないけど、今はいっとき忘れて皆で過ごす時間を楽しもう』っていう潔い気質が、遠野の人にはあるのかなと思っていて。家族や仲間で食べるジンギスカンはそんな遠野の“団らん”の象徴なのだと思います。
現代では、都市部を中心に家族でご飯を囲むという習慣も消えているように感じます。
そんな時代だからこそ、遠野の人が育んできた団らんの食文化「ジンギスカン」を、もっと世の中の人たちに知ってもらいたい。みんなで丸い鍋を囲んで、幸せな団らんのひと時を楽しんで欲しい。吉弥さんはそんな思いを持っています。
私自身も、家業を引き継ぐまでは宮城県で全く別の仕事をしていました。残業も多く、なかなか家族との時間が取れていませんでした。家族と過ごす時間を大切にしたいと思い、20年ほど前に遠野に戻りこの店を継ぐことにしたんです。
そうだったんですね。今は、ご家族との時間も大切にできていますか?
今では職場も家族と一緒で(笑)。家族とたくさんの時間を過ごせるようになりました!
ジンギスカンの美味しい食べ方
お店や自宅でジンギスカンを食べるときの、美味しい焼き方を教えてください!
わかりました!特に重要なのは、お肉をひっくり返すタイミングです。
①脂を鍋に塗る
②野菜を鍋の側面に並べる
③肉を焼く
④肉をひっくり返す
⑤食べる
ふるさと納税の返礼品であんべのジンギスカンを
ジンギスカンあんべの商品は、遠野市のふるさと納税の返礼品に選ばれています。「ご自宅で遠野の美味しいジンギスカンを食べたい!」そんな方はふるさと納税を活用して注文してみてはいかがでしょうか。
バケツセットも人気の返礼品の一つです!
上記の返礼品以外にもたくさんのバリエーションがあります!
ぜひ覗いてみてください。
安部さんの遠野のおすすめ物産
吉弥さんは、ジンギスカン以外に何かおすすめの遠野の産品はありますか?
ビールは毎日飲んでいるのですが、この時期は遠野のホップが使われている『キリン一番搾りとれたてホップ』を特に飲んでいます。お店でも提供していますよ。
ビールがお好きなんですね!
僕と一緒です。遠野は日本随一のホップの生産地ですもんね!
はい。毎日大体2リットルほど…
2リットル!?すごいですね。
遠野の人は、ジンギスカンだけでなくビールも大好きなのかもしれませんね。
遠野のホップを使用したビールもふるさと納税で
遠野のホップを使用したビールも、ふるさと納税の返礼品に選ばれています!安部さんオススメの美味しいビールを、ジンギスカンとご一緒にいかがですか?
他にも、安部さんのおすすめが遠野のB級グルメの五右エ門ラーメン。
もやしとお肉を辛い味付けで炒めたものが載っている醤油ベースのラーメンです。
既に閉店している元祖五右衛門ラーメンのお店「喜楽」が有名です。その味を受け継いだ「京屋亭」に、良く行かれるそうです。
これからも、伝統と革新を目指して
今後、取り組んでいきたいこと、挑戦したいことはありますか?
伝統の味は守っていきたいです。同時に、時代に合わせて新しいものも生み出していきたいと常々挑戦しています。
吉弥さんは、さまざまな新商品を生み出しています。
ジンギスカンのタレと肉を使用した「おかず味噌」や、まかないで食べていた「秘伝のたれ漬けジンギスカン」など評判の商品がたくさんあります。
まだまだアイディアはあります!
すごい!ジンギスカンだけでなく、鶏肉や豚肉の加工品もありますね。遠野の精肉はレベルが高いと聞いたので、美味しいんだろうな〜
地元の味噌屋さんの美味しい味噌を使用した味噌漬け肉シリーズは、美味しくどれも簡単に調理もできて評判のようです!
まとめ
今回ジンギスカンあんべを取材して
・どうして遠野で美味しいジンギスカンが食べられるのか
・ジンギスカンが遠野のソウルフードになった背景
を知ることができました。
そこから見えてきたのは、遠野の人たちの「団らん」が好きな文化。
これはきっと、他にも面白い食や産品に影響を与えていそうです。
今後も引き続き、遠野の食や文化にフォーカスを当てて、紹介していきます!次回もどうぞ、お楽しみに〜〜!